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シャネル CHANEL 2011年クルーズ(11C)の舞台は、南フランスのサントロペ。カール・ラガーフェルド期らしい華やかさをまといながら、肩の力はふっと抜けた、自由で楽しげなコレクションです。
夕暮れの港、赤い椅子が並ぶ老舗カフェSénéquier、海から届くスピードボート。街にいつものランウェイを持ち込むのではなく、サントロペの日常そのものをショーへ変えてしまいました。
招待客がSénéquierの赤い木製椅子に座って待つなか、モデルたちはスピードボートでQuai Jean Jaurèsへ到着。そこから港沿いの通りを歩き始めます。
「ランウェイを歩く」というより、昔のサントロペの街そのものをモデルたちに再現させる。ボートで現れ、カフェの前を通り、ときには裸足で石畳を歩く姿を見ていると、1970年代のリヴィエラ映画へ迷い込んだようです。
透けるように軽いカフタン、長いクロシェドレス、ラッフル襟のシルクジャージーのパンツスーツ、パッチワークデニム。そこへ短いツイードジャケットやビキニトップ、高いウエストのフレアパンツが加わります。
豪華なのに、着る人を堅く見せないのが11Cの魅力。白は海辺の光を含んだように顔まわりを明るく見せ、黒やゴールドも肌を隠しすぎない軽やかなバランスです。ツイードジャケットさえ、少し日焼けした肌や素足に合わせると、こんなにも自由に見えるのですね。
黒白のギンガムチェックのスイムウェアには、サントロペを象徴するブリジット・バルドーの面影が重なります。白いシルクのタキシードは、1971年にこの街の市庁舎でビアンカと結婚したミック・ジャガーを思わせる一着でした。
過去のスタイルをそのまま懐かしむのではなく、今のモデルたちが笑い、踊り、街を歩くことで再び生きた服にする。カールの11Cには、そんな時間の重ね方があります。そして、このミックの記憶はショーの最後へ思いがけない形でつながります。なんと、フィナーレに現れたのは娘のジョージア・メイ・ジャガーでした。
ジョージアは、ビーズを散りばめたミニドレスとサイハイブーツでハーレーの後部座席に乗り、父ミックの「Let’s Spend the Night Together」が流れるなか、通りを駆け抜けました。父の結婚式を思わせる白いシルクのタキシードから、娘が飾るフィナーレへ。サントロペとジャガー親子の物語が、一つのショーの中でつながったのです。
美しく整えられた一列のフィナーレではなく、街の夜がこのまま始まりそうな終わり方。ドレスもジャケットも、特別な場所へしまう服ではなく、人生を楽しむための服に見えてきます。
キーラ・ナイトレイが着用しているワンピースも11Cです。とっても可愛いですね。
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