シャネル通ほど惹かれる「ジャージ」ワンピース&ジャケット|男性用下着の素材から始まったCHANELの物語

シャネル通ほど惹かれる「ジャージ」ワンピース&ジャケット|男性用下着の素材から始まったCHANELの物語

シャネルの洋服と聞いて、最初に「ジャージ」を思い浮かべる方は、きっと多くありません。

ところが、長くCHANELの洋服を見ていると、この素材を好きな方が何度も選ぶ理由がよく分かります。華やかさで目を引くのはツイード。でも、クローゼットからつい手が伸びるのは、身体の動きになじむジャージだったりするのです。

シャネル ジャージの始まりは、海辺のドーヴィル

物語の舞台は、ノルマンディーの海辺にあるドーヴィルです。ガブリエル・シャネルは1913年にこの地でブティックを開き、ジャージを使ったスポーツウェアを販売し始めました。

当時のジャージは、主に男性用の下着やスポーツウェア、ストッキングに使われていた実用的な生地。オートクチュールの華やかな世界から見れば、ずいぶん素朴な存在でした。

けれどもシャネルが目を留めたのは、まさにその気取らなさです。海風に動く服、漁師や水兵の装い、競馬場のポロ選手、そして男性服のすっきりした線。ドーヴィルで目にした風景が、身体を締めつけない新しい服へつながっていきます。

公式映像では、砂浜のベージュ、マリニエール、ボーイ・カペルの英国風ジャケットなど、後のCHANELへ続く着想が次々に現れます。ジャージが単なる「楽な生地」ではなく、新しい女性の動き方を形にする素材だったことが伝わる2分半です。

1916年に残されたCHANEL シルクジャージの一着

この頃の一着を細かく見ると、シャネルがジャージで何を変えたかったのかが、もっと身近に感じられます。

1916年春夏のマリニエール・ブラウスは、現存する最初期のCHANEL作品の一つ。細番手のシルクジャージで作られ、深いVネックに大きなセーラーカラー、折り返したカフス、やわらかな共布ベルトを備えていました。

構造は驚くほどすっきりしたT字形です。硬い芯で身体を作り込むのではなく、生地をしなやかに落とし、ベルトで軽く整える。ジャケット、ブラウス、スカートはドーヴィルやビアリッツの裕福な顧客にすぐ受け入れられました。

そして1916年11月、米英版『Vogue』は、シャネルの技はジャージにあると評しました。

「粗末な生地を高級に見せた」というだけではありません。海辺で過ごす女性が自然に歩き、座り、動ける服を、きちんと美しく見せたこと。その新しさが注目されたのです。

1917年のシャネル ジャージジャケットとスカート

CHANEL jersey tunic jackets and full skirts illustrated in 1917
1917年3月、ベルト付きのジャージ製チュニックジャケットとスカート
出典:Les Élégances parisiennes/Wikimedia Commons

1917年3月のファッション画に描かれたのは、ベルト付きのチュニックジャケットと、ゆったりしたジャージのスカートです。

装飾を盛るよりも、襟、前合わせ、ベルト、裾へ視線を導く。三人の着こなしは少しずつ違いますが、どれも身体の線を締め上げず、縦の流れがきれいに残っています。

約100年前の服なのに、古い資料を眺めているというより、「このジャケットなら今も着られそう」と思わせるところが、いかにもシャネルです。

2012年秋冬に登場したシャネル ジャージワンピース

時代が進んでも、ジャージはCHANELの中から消えませんでした。カール・ラガーフェルドによる2012年秋冬コレクションでは、ネイビーのジャージワンピースと同シリーズのジャケットがランウェイに登場します。

歴史資料の素朴なチュニックとは雰囲気が違っても、やわらかな生地を端正なシルエットへまとめる考え方は同じ。2分10秒頃から、動いたときの裾や袖の落ち方まで確認できます。

何度も着たくなるシャネルのジャージワンピースとジャケット

シャネルのジャージ作品は、写真だけでは魅力が伝わりにくいことがあります。ツイードのような華やかな凹凸は控えめ。それでも実際に着る機会が増えるのは、身体の動きについてきながら、ワンピースやジャケットの輪郭をきれいに見せてくれるからです。

シャネルを何着もお持ちの方ほど、最後にこういう一着へ戻ってくることがあります。見た瞬間の派手さより、着るたびに「やっぱりこれ」と思える服。ジャージの強さは、そこにあります。

シンプルなパンプスで食事へ、フラットシューズで昼間のお出かけへ。アクセサリーを替えるだけでも雰囲気が変わり、一枚を何度も着回しやすいのも嬉しいところです。

ただし、「ジャージだから、どれもよく伸びる」とは限りません。

ウール、シルク、コットンなどの組成、編み地、裏地、仕立てによって着用感は変わります。プレオウンドでは実寸に加え、生地の波打ち、引っかけ、毛羽立ち、袖口や裾の状態まで商品ごとに確認すると選びやすくなります。

ツイードとは違う、静かで軽やかなエレガンス。ジャージは、シャネルが女性の身体を自由にした歴史を、今のワードローブで楽しめる素材です。

CHANEL JERSEY COLLECTION

シャネル ジャージーのワンピース・ジャケット

現在ご覧いただけるジャージー素材のラインナップをまとめました。素材の組成、実寸、コンディションは各商品ページでご確認いただけます。

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