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薄手なのに、驚くほど暖かい。やわらかいのに、着た姿がぼんやりしない。
シャネル CHANEL のカシミヤニットを手にすると、「素材が上質だから」で終わらせるには、少しもったいない気がします。暖かさを生む繊維の性質と、洋服の形に仕上げる職人技。その両方が一枚の中にあります。
カシミヤは、カシミヤ山羊の硬い上毛の下に生える、細くやわらかな産毛です。寒さの厳しい土地で体温を守るための繊維なので、軽さと保温性を両立しやすいのが特徴です。
厚みで体を包むというより、細い繊維の間に空気を抱え込む。そのため、かさばりにくいのに暖かく、しなやかな落ち感も出ます。カーディガンやセーターだけでなく、ワンピースやジャケットにも使いやすい理由です。
ただし、やわらかければよいわけではありません。CHANELの服として大切なのは、やわらかな編み地の中に、前立て、裾、袖、ポケットの線がきちんと残ることです。


CHANELのカシミヤを語るとき、知っておきたい名前がBarrie(バリー)です。
Barrieは1903年、スコットランドのホーイックで創業した老舗のカシミヤニット工房。長年の取引先だったCHANELが2012年に買収し、メティエダールを支える工房の一つになりました。
Barrie公式Instagramで工房の動画を見る
Barrieは、CHANELのニットを支える工房の一つです。その仕事を知ると、素材表示だけでは見えにくいニットの魅力が、ぐっと分かりやすくなります。
Barrieでは、精密な編機と人の手を使い分けます。身頃や袖を形に合わせて編み、編み目を拾いながらパーツをつなぎ、洗い上がりを一着ずつ見極め、最後に仕上げと検品を重ねます。
ニットは伸びる素材です。少しのテンションの差が、袖のねじれや前立ての波打ちにつながります。その繊細な編み地を、きれいな洋服の形へ整えていくところに、職人技が光ります。
CHANELとスコットランドの結びつきが、コレクションの表情になって現れた代表例が、2012/13年のメティエダール「パリ–エディンバラ」です。
舞台はエディンバラ近郊のリンリスゴー宮殿。タータン、深い色、宝石のようなボタン、そしてカシミヤが、スコットランドとCHANELの長い関係を映しました。BarrieがCHANELのメティエダールへ加わった時期とも重なります。
当店でも13PFのカシミヤカーディガンは、今なおお問い合わせの多いモデルです。華やかな装飾に負けず、ニットの線がきれいに残るから、一枚で着ても印象がぼやけません。
軽くて暖かいカシミヤを、どう編み、どうつなぎ、どう洗い、どんな線に仕上げるか。シャネル CHANEL のカシミヤニットの魅力は、原料名の先にあります。
ふわっとしているのに、姿は静かに整っている。力を抜いて着られるのに、きちんと見える。そのバランスを知ると、一枚を見る目も少し変わります。
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