シャネル、111年ぶりにビアリッツへ|マチュー・ブレイジー期の27C【2027クルーズ】

シャネル、111年ぶりにビアリッツへ|マチュー・ブレイジー期の27C【2027クルーズ】

ショーが始まる前から、もう物語はできていました。2026年4月、CHANELがクルーズの舞台に選んだのはビアリッツ。ガブリエル・シャネルが1915年にクチュールハウスを開いた、あの海辺の街です。

111年ぶりの帰還を任されたのは、マチュー・ブレイジー。彼にとって初めてのCHANELクルーズは、歴史をそのまま再現するのではなく、実際に海辺へ着て行きたくなる服で始まりました。

1915年のビアリッツを知ると、CHANEL 27Cがもっと面白い

ビアリッツでシャネルは、ブティック、アトリエ、サロン、住居を一つの屋根の下へ集めました。ジャージのブラウスやジャケット、揺れるスカート。海辺を歩けて、そのままホテルやサロンへ入れる服が、この街で本格的なコレクションになっていきます。

帽子から始まった仕事がメゾンの形を得た場所。だから2027クルーズ(27C)のビアリッツは、懐かしい住所へ戻る旅ではありません。CHANELが大切にしてきた動きやすさを、今の女性の暮らしに合わせて見せ直す舞台でした。

最初のルックは、100歳になったリトルブラックドレス

27Cの幕開けは黒いドレス。1926年にアメリカ版『Vogue』がフォードになぞらえた、シンプルで広く着られるリトルブラックドレスの100周年を受けた一着です。

深いV、ドロップウエスト、白い幾何学ステッチ。元のスケッチで背中に描かれていた大きなリボンは、遊び心のあるクラッチバッグに変わりました。昔の形をそのまま再現せず、ディテールの見せ方を大胆に変えています。

サロンが砂浜へ出た|シルク、ラフィア、ツイードが風を受ける

マリニエールのクォータージップ、使い込んだようなコットンキャンバスのスーツ、シルクのスカーフドレス、音が聞こえそうなラフィアのスカート。きちんとしたジャケットの下に水着が入り、街と海の境目がほどけていきます。

貝殻のイヤリング、珊瑚やヒトデを思わせるブレード、魚の鱗のように光る刺繍。海のモチーフが、ツイードやレースに軽やかなリズムを添えています。

27Cの合言葉は「サロンがビーチへ」。
ラグジュアリーなのに、風に吹かれて完成する服。1915年のビアリッツと同じ自由が、素材を変えて戻ってきます。

ダブルCも新聞柄も、声を張り上げずに目に残る

今回のダブルCは、ロゴを置いただけには見えません。透かし編みや格子の構造になり、布の流れに沿ってシルエットを作ります。見えるのに叫ばない。その加減がとても新鮮でした。

後半には、新聞柄のスカートスーツやロングドレスも登場します。海辺のリラックス感の中にグラフィックの強さが加わり、ショーの空気が一気に変わりました。

ロイック・プリジェントが連れて帰る、ビアリッツのざわめき

ショーの服だけでなく、ゲストの高揚、街の音、舞台裏の一瞬まで見たいなら、ロイック・プリジェントの映像が最高です。知識で押し切らず、ユーモアがあるのに作り手への敬意は薄れない。遠いランウェイを、すぐ隣で起きている出来事に変えてくれます。

ショーの表側も舞台裏も、この人にかかると一本の物語になります。

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CHANEL 2027クルーズ(27C)は、過去へ戻るショーではなかった

ガブリエル・シャネルの記憶が残る街で、ブレイジーは歴史をそのままなぞりませんでした。黒いドレスも、ツイードスーツも、マリニエールも、現代の女性が一日を通して着られる服へと更新しています。

1915年にビアリッツで始まったのは、一つの決まった形ではなく、女性の暮らしに合わせて服を変えていく考え方でした。111年後の27Cにも、その自由さが自然に受け継がれています。CHANEL公式フルショーでは、海の光を受けて揺れるシルクやラフィア、ツイードの動きまでしっかり楽しめます。

参考資料

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