シャネル CHANEL 20A|ヴィルジニー・ヴィアール期が描いた乗馬の自由【2020秋冬】

シャネル CHANEL 20A|ヴィルジニー・ヴィアール期が描いた乗馬の自由【2020秋冬】

シャネル(CHANEL)の2020年秋冬、シーズンコードは20A。パリのグラン・パレに広がったのは、馬に乗ったときの風と解放感を服へ移したコレクションでした。

黒と白を軸に、淡いグリーンとハウスを象徴するピンク。ツイードのジャケットやコートは端正に見えますが、スナップやファスナーが軽やかな動きをつくります。

モデルたちが一人ずつではなく、2人、3人で話しながら歩く。その自然な空気も、20Aを今見ても新鮮に感じさせる理由です。

シャネル 2020年秋冬 20A|「自由」は乗馬の風から

2020年3月3日、CHANELは20Aのプレタポルテをパリのグラン・パレで発表しました。アーティスティック ディレクターのヴィルジニー・ヴィアールが掲げた言葉は「Freedom!」。馬が駆けるときに感じる風と自由を、服の動きへ置き換えました。

出発点の一つは、1980年前後に撮られたカール・ラガーフェルドとアンナ・ピアッジの写真です。乗馬ブーツ、ジョッパーズ、クラヴァットをまとった二人の強いロマンティシズムが、20Aのシルエットへつながりました。

ガブリエル・シャネルが所有した競走馬「ロマンティカ」や、クロード・シャブロル監督の映画『Les Biches』も着想源。レースには跳ねるペガサスが織り込まれ、ピンクはシャネルの勝負服の色として登場します。

Live From Paris — The Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear Collection — CHANEL Shows

CHANEL 20Aのツイードジャケット|スナップとファスナーで動く服

72ルックを通して繰り返されたのは、動きを止めない仕掛けです。ジョッパーズは脚の外側に並ぶスナップを開けられ、ブーツの上で裾が揺れます。柔らかな肩のジャケットやコートドレスにも、シグネチャーボタンの代わりにスナップが使われました。

膝下スカートやゆったりしたコートにはファスナー。開くと、同じツイードのショートパンツやビスチェがのぞきます。同系色の異なるツイードをつないだコート、波形の縁取りを施した淡いスーツ、袖にボリュームをつくる羽根。黒と白を中心にしながら、服の表面は一様ではありません。

きちんとしたジャケットを、開閉できるディテールで軽くする。20Aは、シャネルのコードを残したまま、着る人の動きへ近づけたコレクションでした。

The Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear collection — CHANEL

シャネル 20Aのグリポア|クロスとカボションのジュエリー

20Aの黒を近くで見ると、ジュエリーの色が強く残ります。パールで囲んだクロス形ブローチ、グリーンやピンクのカボションを連ねたネックレスとベルト、黒と透明なストーンを組み合わせた大ぶりのペンダント。服がモノクロだからこそ、一点の色が際立ちます。

トップスのプリントや刺繍にもクロスが現れ、ジュエリーだけが別に置かれているわけではありません。衣服、ベルト、ネックレスをまたいで同じモチーフを重ねることで、全身にリズムが生まれています。

シャネル CHANEL 20A パール付きクロスブローチ
credit:© CHANEL
シャネル CHANEL 20A ピンクカボションのネックレス
credit:© CHANEL
シャネル CHANEL 20A グリーンとピンクのクロスネックレス
credit:© CHANEL
シャネル CHANEL 20A パールとCCロゴのクロスジュエリー
credit:© CHANEL
シャネル CHANEL 20A カラーストーンのグリポアベルト
credit:© CHANEL
シャネル CHANEL 20A 黒と透明ストーンのペンダント
credit:© CHANEL

シャネル 20A コーラルピンクコート|カロリナ・クルコヴァの着用スタイル

カロリナ・クルコヴァが着用したシャネル 20A コーラルピンクコート
Karolina Kurkova in Chanel Wears Bold Opulence ELLE Czech — Anne of Carversville

モデルが2人、3人で歩く|20Aの若々しいランウェイ

ショーでは、モデルがペアや3人組で現れました。隣同士で言葉を交わし、笑顔を見せながら歩く姿は、決められた一列の行進とは違います。乗馬から始まった「自由」が、服だけでなくランウェイの歩き方にも表れていました。

同じブーツをほぼ全ルックへ合わせても、ドレス、ショートパンツ、スーツ、コートで印象は変わります。足元を共通させたことで、モデルそれぞれの着こなしと動きが見えやすくなりました。

会場に集まったアンバサダーや友人たちの映像では、20Aを目の前で見た人々の表情も確認できます。

Guests — Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear collection — CHANEL Shows

シャネル 20Aのヘアとメイク|ふんわり髪と艶のあるリップ

ヘアは顔まわりをきっちり固めず、トップと後頭部に空気を含ませたハーフアップ。乗馬ブーツや黒いクラヴァットの強さに、柔らかな輪郭を加えています。

メイクは頬の血色、艶のある肌、グロッシーなリップが中心です。公式のバックステージ映像では、ルージュを強く塗り込むより、光を重ねてフレッシュに仕上げる過程が見られます。

Backstage Makeup Look - Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear — CHANEL Makeup

乗馬服の引用、開閉できるツイード、強いジュエリー、並んで歩くモデルたち。20Aは、壮大な装置ではなく、服と人の動きそのものを主役にした秋冬でした。

シャネル 2020年秋冬(20A)

のジャケット・コートなど
をご覧いただけます。

CHANEL 20Aのアイテムを見る

参考資料

Vogue Runway:Chanel Fall 2020 Ready-to-Wear

CHANEL:Live From Paris — Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear

CHANEL:The Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear Collection

CHANEL:Guests — Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear

CHANEL:Backstage Makeup Look — Fall-Winter 2020/21 Ready-to-Wear

前の記事      次の記事