シャネル04A「Coco took it from the boys」|カール・ラガーフェルドのCHANELツイード【2004秋冬】

シャネル04A「Coco took it from the boys」|カール・ラガーフェルドのCHANELツイード【2004秋冬】

2004年3月、シャネルの04A秋冬ランウェイに現れたのは、長いアスファルトのストリート。ニュースボーイキャップ、メンズシューズ、ツイードジャケット、ボクシーなカーディガンが次々と歩き、女性と男性の境界を軽やかに行き来していきます。

カール・ラガーフェルドが掘り起こしたのは、ガブリエル・シャネルが男性のワードローブから服のアイデアを取り込み、女性のための新しいスタイルへ変えてきた歴史でした。04Aは、その原点を2004年のストリートへ連れ出したCHANELコレクションです。

シャネル04A「Coco took it from the boys」|CHANELがメンズ服から受け継いだ発想

04Aのテーマは「Coco took it from the boys」。その言葉どおり、コレクションの中心にあったのは、男性服の要素を女性の服へ取り込むというシャネルの原点です。

ガブリエル・シャネルは1920年代から、ジャージーやカーディガン、スポーツウェア、テーラリングなど、当時は男性の服と結びついていた要素を女性のワードローブへ取り入れてきました。英国で過ごした時期には男性のツイードジャケットやスポーティな服装にも親しみ、実用的だった素材を軽く、しなやかに、エレガントな服へ変えていきます。

カールはその歴史を懐古的に再現するのではなく、「今なら男女で同じジーンズやジャケット、Tシャツを共有する」という感覚まで押し広げました。クラシックなシャネルのコードを、ジェンダーの境界がもっと自由になった時代へ接続したのが04Aです。

TC JAPAN NOTE

04Aを見ると、シャネルのツイードが「きれいなスーツ」だけの素材ではないことがよく分かります。端正にも、少し少年っぽくも、スポーティにも振れる。その幅の広さが、このシーズンのおもしろさです。

CHANEL 04A秋冬ランウェイ|「One Way Street」を歩く男女のツイード

ショーの舞台は、名前まで付けられた長いアスファルトの「One Way Street」。冒頭にはブラウン系のスーツとニュースボーイキャップが登場し、女性モデルの間には男性モデルも混ざりました。

なかでも象徴的だったのが、シャネルらしいブレードトリムのカーディガンジャケットを男性が着たルック。ツイード、ブレード、カーディガンというメゾンの定番を、そのまま女性専用の記号にはしなかったところに04Aらしさがあります。

街のようなランウェイを使ったことで、服はサロンの中の完成されたコーディネートではなく、パンツやキャップ、メンズシューズと混ざりながら動く日常着として見えてきます。カールがこのシーズンで強く押し出したのも、ジャケットとパンツでした。

シャネル04Aのツイードジャケット|チェック柄とメンズシューズがつくる軽さ

04Aのツイードは一つの表情にまとまりません。大柄のチェックを使ったコンパクトなジャケットや格子柄のコート、ボクシーなカーディガン、バイカージャケット、スポーティなセーター。そこへメンズシューズやキャップが加わり、シャネルのジャケットに少し無造作な空気が生まれます。

きちんとしたブレードやツイードを使いながら、全身を「上品」にまとめすぎない。ブラウン、ブラック、アイボリー、ミックスツイードといった秋冬らしい色にも、若いストリートの軽さが加わっています。

このバランスは、今見ても合わせやすいところ。ツイードジャケットをスーツで完成させるだけでなく、パンツやデニムに合わせてもコレクションの考え方から外れません。むしろ04Aでは、そうした自由な組み合わせこそ自然です。

CHANEL 04Aの秋冬スタイル|スキーウェア、ベルベットスーツ、黒のドレス

ランウェイの途中には、ツイード、カシミヤ、ニット、モヘア、デニムを交ぜたスキーラインも登場しました。ガブリエル・シャネルが早くからスポーツウェアを女性の生活へ取り入れてきた流れを、カールはアウトドアやストリートの要素まで広げています。

一方で、メンズライクな方向だけに振り切らないのも04A。ベルベットのパンツスーツにクリーム色のレースブラウスを合わせたルックがあり、終盤には1930年代を思わせる黒のスパンコールドレスも現れます。

少年のようなキャップから、艶のある黒いイブニングまで。同じコレクションの中で振り幅を大きく取ることで、「男性的」「女性的」のどちらか一方を選ぶのではなく、その日の気分で行き来できるワードローブになっています。

シャネル2004秋冬04A|ツイードジャケットを今のワードローブで楽しむ

04Aのジャケットを今着るなら、まずパンツとの組み合わせが素直です。小さめのツイードジャケットにストレートパンツやデニム、足元はローファーやシンプルなブーツ。ジャケット自体に表情があるので、インナーを無地にすると素材がきれいに浮かびます。

ブラウンやミックスツイードはアイボリーやブラックを合わせると落ち着き、ピンクやラベンダーを含むツイードは顔まわりが柔らかく見えます。逆にレザージャケットなら、ワンピースや細身のスカートを合わせると、04Aが得意とした男性的/女性的なコントラストを楽しめます。

シャネルらしいのに、かしこまりすぎない。ジャケット、パンツ、ドレス、スポーツウェアまでが同じ道の上でつながる04Aは、カール・ラガーフェルド期のCHANELらしいスピード感と遊び心がよく見える秋冬です。

04Aコレクションのジャケット・コート・スーツ・ワンピース・セーターなど

シャネル 2004年秋冬(04A)

のジャケット・コート・スーツなど
をご覧いただけます。

CHANEL 04Aのアイテムを見る
前の記事      次の記事