映画『バービー』を見て、「あのピンクのCHANEL、どこかで見たことがある」と思った方へ。
実はあの華やかな世界には、カール・ラガーフェルド期のCHANEL 1995春夏(95S)が深く関わっています。
ピンクのスーツだけではありません。ラベンダーのツイード、きらめくジュエリー、ハート形のバッグまで。30年以上前のコレクションが、バービーのために再びスクリーンへ戻ってきました。
先にひとつだけ。
「バービーコレクション」はCHANELの正式なコレクション名ではありません。鮮やかな色、短い丈、遊び心のある小物がバービーの世界を思わせることから、現在ヴィンテージ市場などで使われている通称です。
CHANEL 1995春夏(95S)は、なぜ「バービーコレクション」?
まず目に飛び込んでくるのは、ピンクやラベンダーなどの明るい色。短いジャケットやミニスカート、存在感のあるジュエリーやバッグまで、いつものCHANELより少し大胆です。
きちんと仕立てたスーツなのに、どこかポップ。上品なのに、思いきり楽しい。その絶妙なバランスが、バービー人形のワードローブを連想させます。
かわいい。でも、ただ甘いだけではない。
そこが1995春夏のCHANELです。
ジャケット、スカート、ジュエリー、小さなバッグ。全身をそろえても、どれか一つだけ選んでも、ひと目でこの時代だと分かる強さがあります。
動画で見るCHANEL 95S|色もバランスも想像以上
写真だけでは伝わりにくいのが、服が動いた時の軽さです。短い丈とコンパクトなバランス、鮮やかな色が次々に現れるランウェイは、今見ても気持ちが明るくなります。
Canale Moda Since 1982「CHANEL Spring Summer 1995 Paris 4K」
「バービー」という呼び名だけを先に聞くと、ピンク一色のコレクションを想像しがちです。でも映像で見ると、色、丈、素材、小物の組み合わせがとても豊か。ひとつのイメージには収まりません。
映画『バービー』に登場した、1995春夏のCHANEL
映画でマーゴット・ロビーが着たピンクのスカートスーツは、1995春夏のランウェイでクラウディア・シファーが着用したもの。ラベンダーのツイードスーツも同じシーズンから選ばれました。
衣装には、本物のヴィンテージと、アーカイブをもとに作り直したものの両方が使われています。
ピンクのスカートスーツ1995春夏のランウェイで、クラウディア・シファーが着用。
ラベンダーのツイードスーツ同じ1995春夏から選ばれた、もう一つの印象的なルック。
大ぶりのネックレスダイヤモンドとカラーストーン、パールドロップ、CCマークがきらめくデザイン。
ホットピンクのハート形バッグ1995春夏に登場した形を、映画のバービーらしい色で。
新しく「バービーらしい衣装」を考えたのではなく、CHANELのアーカイブに、すでにその世界があった。ここが何とも楽しいところです。
スーツの内側に残っていた、小さな「Claudia」
マーゴット・ロビーが着たアーカイブスーツの内側には、「Claudia」と記された小さなラベルが残っていました。
それを見つけた瞬間、彼女自身も驚いたそうです。スクリーンの中ではバービーの服。でも、その内側には、クラウディア・シファーが1995年に着た記憶がそのまま残っていたのです。
服の内側に残った名前まで、
映画の小さな物語になっている。
ヴィンテージの面白さは、見た目だけではありません。以前に誰が着たのか、どの時代を通ってきたのか。そうした時間まで一緒に残っていることがあります。
30年以上前なのに新しい|CHANEL「バービーコレクション」の魅力
1995春夏のCHANELを、全身そのまま再現する必要はありません。
短いジャケットをデニムに合わせる。鮮やかな色を一つだけ選ぶ。ジュエリーや小さなバッグで、少しだけ遊ぶ。それだけでも、このコレクションらしい高揚感は十分に楽しめます。
大人になった今こそ、ちょうどいい。
若く見せるためではなく、きちんとした服に少しだけ楽しさを足すために。1995春夏のCHANELは、そんな使い方ができるコレクションです。
映画をきっかけに初めて知った方にも、ずっとヴィンテージCHANELが好きだった方にも。
「バービーコレクション」という呼び名の向こうにあるのは、色を楽しみ、着ることを楽しむ、とても自由なCHANELです。