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シャネルのジャケットやワンピースをクリーニングに出す時、私は今でも少し緊張します。
汚れが落ちるかどうかだけではありません。
服の表情が変わってしまわないか。
そこがいちばん気になります。
ツイードのふくらみ、ニットの編み目、プリーツの細かさ、肩の形、ボタンやブレードの存在感。
シャネルの洋服は、そういう小さな部分が集まって、一着の雰囲気を作っています。
だから「高級クリーニング」と書かれているだけでは、まだ安心できません。
以前、急いでいたため、近所の有名なチェーン店にシャネルの洋服を出したことがあります。
戻ってきた服を見て、すぐに後悔しました。
独特のニット編みの表情が弱くなり、もともとの雰囲気がほとんど消えてしまっていたのです。
汗ジミをお願いした時も、落ちたような、落ちていないような、曖昧な仕上がりでした。
チェーン店が悪いという話ではありません。
早く、安く、たくさんの服を扱う仕組みの中では、シャネルのような繊細な洋服を一着ずつ細かく見るのは難しいのだと思います。
東京の港区、高輪、麻布、白金あたりには、高級クリーニングを掲げるお店がたくさんあります。
このあたりは高級住宅地も多く、富裕層の方がシャネルやエルメス、ヴィトンなどの洋服を普通に持ち込むエリアです。
だから、お店側も「高級ブランド対応」「高級衣類専門」とうたいやすい。
料金も、当然のように高く設定されています。
けれど、実際に出してみると、価格と技術がまったく釣り合っていないと感じることがありました。
説明は立派。雰囲気も高級。料金も高い。
でも、戻ってきた服を見ると、素材の表情も、シルエットも、仕上げの細かさも、期待したほどではない。
高級な場所にあることと、技術が高いことは、別の話です。
TC JAPANには、日本国内だけでなく、海外からもたくさんのシャネルファンのお客様が購入してくださっています。
アメリカ、イギリス、香港、台湾、ヨーロッパ、その他の地域のお客様からも、シャネルのジャケットやワンピースについてご相談をいただきます。
そこで思うのは、クリーニング店選びの落とし穴は、どの国でも案外よく似ているということです。
高級住宅地にある。
料金が高い。
富裕層のお客様が多そう。
ブランド衣類を扱っています、と書いてある。
ここまで揃うと、なんとなく「きっと大丈夫」と思ってしまいます。
でも、シャネルの洋服に関しては、そこで一度立ち止まった方がいいと思います。
大切なのは、住所の高級感でも、料金表の迫力でもありません。
その服を、ちゃんと見てくれるかどうかです。
ツイードのふくらみ、ニットの編み目、プリーツの細かさ、裏地、チェーン、ボタン、装飾部分。
落とせる汚れと、落としきれない汚れ。
ヴィンテージのシャネルなら、経年による弱さまで見てくれるか。
ここを見ずに「高級ブランド対応です」と言われても、こちらとしては少し困ります。
シャネルの服は、ただ高い服ではなく、繊細な服です。
これは日本でも海外でも、同じように大切な確認ポイントだと思います。
クリーニングに出す前には、まず自分でも服の状態を見ておきます。
襟元、袖口、脇、裏地、裾、ポケット周り。
ボタン、ブレード、チェーン、装飾部分。
汗ジミ、化粧品、香水、食べこぼし、保管中の変色など、気になる場所があれば、預ける時に具体的に伝えた方が安心です。
「全体的にきれいにしてください」だけでは、仕上がり後に話がずれることがあります。
特にヴィンテージのシャネルは、表地がきれいでも、裏地、芯地、縫い糸が弱っていることがあります。
古い服に慣れていないお店に出すと、きれいにするつもりが、かえって負担になることもあります。
シャネルの洋服は、洗った後の仕上げがとても大切です。
プリーツがぼんやりすると、服全体がだらしなく見えます。
ニットの編み目がつぶれると、デザインの表情が消えます。
ツイードのふくらみがなくなると、シャネルらしい立体感が弱くなります。
クリーニングは、汚れを落とすだけの作業ではありません。
その服の雰囲気を、どこまで残して返してくれるか。
そこに技術の差が出ます。
当店では、東京・港区高輪のカラキヤさんを、シャネルの洋服の駆け込み寺のように、よく頼りにしています。
難しそうな素材、細かいプリーツ、デリケートなワンピース、普通のクリーニングでは不安なジャケット。
そういう時に、まず相談したくなるお店です。
以前、非常に細かなプリーツの入ったシャネルのワンピースをお願いした時も、戻ってきた服はプリーツが自然に整い、汚れもきれいになり、服全体がすっと生き返ったように見えました。
水洗いが必要な場合は、服の状態を見ながら手で押し洗いをされるとのことです。
仕上がった洋服には、手書きのメモが添えられていることもあります。
どこを見たのか、どの汚れが落ちたのか、どこが落としきれなかったのか。
そういうことが分かると、こちらも服の状態をきちんと確認できます。
かなりの数をお願いしているので、こちらの好みや、仕上がりで大切にしている感覚も分かってくださっているように感じます。
大切な服を長く着るには、こういう「ここだ」と思えるクリーニング店やお直し店と長くお付き合いすることが、実は女性にはとても大切なのかもしれません。
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